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障害者保健福祉部 機関紙
まぁ、よんでみて!
第12号 2006年 春号


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発行:(社)大阪府理学療法士会 障害者保健福祉部 〒540-8790 大阪市中央区常盤町1-4-12-301 TEL. 06-6942-7233
印刷所:身体障害者授産施設 大阪ワークセンター 〒594-0031 和泉市伏屋町 5-10-11  TEL. 0725-57-0883

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脳梗塞にてリハビリ中の小野さんの作品です

hogaraka
脳卒中友の会「ほがらか会」作品

ひな壇の桃の蕾も酒に酔い
大橋貴美子

どんな夢咲かすか思案する蕾
百瀬 百子

花便り母校の庭が懐かしい
庄村 弥馬

皇室の世継ぎ日本の知恵が寄り
野里 勝子

野里 猪突 選

特集
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 障害者自立支援法が、昨年10月成立し、今年4月より一部が施行されています。
 障害のある方の日常生活・社会生活での自立を支援し、地域の中で尊厳をもち、安心して暮らせる社会の実現をめざしたこの法律は、従来のように身体障害、知的障害、精神障害、障害児といった障害、年齢の別に提供されていた福祉サービスを、障害の種別に関わらず、サービスの仕組みをひとつにして、必要なサービスを受けられるようになりました。サービスに対する利用者の負担も、従来は収入に応じていたものが、サービス量に応じた負担に変わりました。(負担の上限は収入によって決められます。)
 具体的には、障害のある方が生活をする上で必要となる介護や仕事、医療にかかわる福祉サービスに対する給付(自立支援給付)と、障害者の相談や日常生活用具など、市町村がその実情に応じて行う地域生活支援事業の二つの側面から支援されます。(図1)

fig
図1.自立支援システム

 この自立支援給付は、介護に関する「介護給付」(表1)、就労に関する「訓練等給付」(表2)、更正医療・育成医療・精神通院公費をまとめた「自立支援医療」、「補装具」の4つに分かれます。
 これらのサービスを受けるには、市町村の窓口に申請し、障害程度の認定を受けなければなりません。(図2)
また、費用の支払いについては、原則かかった費用の1割負担ですが、世帯の所得に応じて1ヶ月に支払う限度額が決まっています。 例えば、介護給付では以下のように決まっています。

◎生活保護世帯・・・・0円
◎低所得1(*1)・・15000円   (*1)市民税非課税世帯で本人収入80万円以下
◎低所得2(*2)・・24600円   (*2)市民税非課税世帯
◎一般・・・・・・・・37200円

 また、これ以外に食事代等がかかることもあります。 自立支援医療、補装具については手続きの方法が異なり、負担限度額も介護給付とは別の上限が定められています。詳しくはお住まいの市町村の障害福祉の窓口にお問い合わせください。

表1.介護給付

居宅介護
(ホームヘルパー)

自宅で、入浴、排せつ、食事の介護等を行います。

重度訪問介護

重度の肢体不自由者で常に介護を必要とする人に、自宅で、入浴、排せつ、食事の介護、外出時における移動支援などを総合的に行います。

行動援護

自己判断能力が制限されている人が行動するときに、危険を回避するために必要な支援、外出支援を行います。

重度障害者等包括支援

介護の必要性がとても高い人に、居宅介護等複数のサービスを包括的に行います

児童デイサービス

障害児に、日常生活における基本的な動作の指導、集団生活の適応訓練等を行います。

短期入所
(ショートステイ)

自宅で介護する人が病気の場合などに、短期間、夜間も含め施設で、入浴、排せつ、食事の介護等を行います。

療養介護

医療と常時介護を必要とする人に、医療機関で機能訓練、療養上の管理、看護、介護及び日常生活の世話を行います。

生活介護

常に介護を必要とする人に、昼間、入浴、排せつ、食事の介護等を行うとともに、創作的活動又は生産活動の機会を提供します。

施設入所支援

施設に入所する人に、夜間や休日、入浴、排せつ、食事の介護等を行います。

共同生活

介護夜間や休日、共同生活を行う住居で、入浴、排せつ、食事の介護等を行います。


表2.訓練等給付

自立訓練

身体機能または生活能力の向上のために必要な訓練を行う。

就労移行支援    

一般企業への就職を希望する人のために必要な訓練を行う。

就労継続支援

一般企業での就職が困難な人のために働く場を提供し、必要な訓練を行う。

共同生活援助

夜間、休日に共同生活を行う住居で、相談や日常生活の援助を行う。




図2.介護給付の流れ
fig

いったいどうなる?

il 平成18年4月より障害者自立支援法が施行され、これまで利用してきた福祉サービスに対して利用者の自己負担が発生することになりました。今回、福祉サービスを利用しながら生活をされている事例を通して、法律施行前後の変化について紹介します。

《紹介する事例》
A子さん
 年齢38歳、女性
 障害名:脳性まひ   
 身体障害者手帳1級
収入内訳: 障害基礎年金(1級)  82,758円
      特別障害手当て     26,000円
      作業所工賃        3,000円  
                   ↓
         合計     111,758円

soji ホームヘルパー利用状況 (1日あたりのサービスの種類と時間)
  家事援助・・約3時間
  身体介助(入浴・身支度等)・・約1.5時間
  移動介護・・約4時間 (長時間の外出などは7〜9時間となることもある)
          ↓
障害者自立支援法施行後の自己負担による変化(シュミレーション)
 →3月までの単価計算で、1ヶ月に平均41万円の福祉サービスを利用しており、
 これまでのサービスを法律施行後も同じだけ利用することになると、
 その1割の41,000円が自己負担になります。              

bath今回紹介した場合では、非課税世帯の自己負担の上限である24、600円が適用されます。

利用しているサービス(1ヶ月あたりの時間数)

自立支援法施行前

自立支援法施行後

家事援助:50時間
移動介護:70時間
身体介護:50時間
 
1ヶ月サービス利用  約41万円
      自己負担     0円 

家事援助:50時間
移動介護:70時間
身体介護:50時間
 
1ヶ月サービス利用  約41万円
      自己負担 24、600円 


編集後記 春の嵐のように障害者支援法の成立、診療報酬改定と福祉・リハ医療が大きく変わろうとしています。一部で騒がれている格差社会がこれらの分野にも迫ってきたようにも思います。マイナス面を見れば障害のある方への経済的な負担増が考えられます。しかし、今まで受けてきたサービスを見直す良い機会かもしれません。
 これからはサービスを受けるために、それなりの負担が要求されます。その負担はサービスを提供する側への厳しい目につながるでしょう。理学療法士を含め提供する側は、選ばれるサービスを提供するための努力がさらに要求されていくでしょう。意識改革が両者に求められ時代です。互いにプラス面を生かせるようにしたものです。 (大)



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