もどる > 2002年4月・診療報酬改定情報 (2002/3/22 update)

4月の診療報酬改定緊急情報!

医療・介護保険部 部長 千葉 一雄

2002/3/5 modified
2002/3/8 modified
2002/3/22 update
医療・介護保険部より
 今回の改訂は理学療法部門においてははじめての厳しい減収が予想されます。各施設で現行と改訂後のシュミレーションをされた内容や疑問点、様々な問題など会員の皆様からのご意見・情報をお待ちしております。
  (メールは   まで)
 
 
 平成14年度診療報酬改定の全貌が明らかにされました。今回の改定はまさしく理学療法領域にとって大型台風に匹敵する被害が予想されます。そこで医療・介護保険部ではリハビリテーション領域を中心に改定内容を掲載しました。各施設での対策の一助としての情報になれば幸いと存じます。
 次号士会ニュースにて詳細な報告をいたします。
 (下線が今回追加情報内容です)。

    ●今回の特徴
    ○リハビリテーション料評価体系の見直し
    ○患者の状態に応じた慢性期入院医療の評価(療養病棟,老人病棟基本料の包括範囲)
    ○平均在院日数要件(平成14年10月施行)
    ○物理療法関連(消炎鎮痛処置に係わる処置評価の見なおし)
    ○生活習慣病指導管理料(新設)
    ○再診料・基本診療料
    ●理学療法現行点数と改訂後の比較
    ●医療・介護保険部より...



 14年度診療報酬点数表の改訂の概要

【今回の特徴】
・ 史上初のマイナス改訂(2.4%:診療報酬本体1.3%、薬価1.3%、材料価格0.1%
・ 検査、画像診断、投薬、注射など幅広く引き下げ
・ 再診料、基本診療料の逓減制を導入
・ 6ヶ月を越える入院基本料の特定療養費化、特定機能病院などにおける入院包括評価導入
・ 一方、小児、精神医療、緩和ケア、リハビリ(言語聴覚療法)、生活習慣病対策については重点的な評価
・ たらい回しの防止:退院時に退院証明書を発行し次の医療機関では入院履歴を確認することが支払い要件となる。ちなみに1度退院して3ヵ月を超えた場合に新たな起算日となる。
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《リハビリテーション料の評価体系の見なおし》
 現在の「複雑なもの」及び「簡単なもの」で分かれた曖昧な評価体系を見なおし、「個別療法」「集団療法」に分けて20分間を1単位として体系を変更。また、脳血管疾患患者などに対する発症後早期,外来移行期についても改定。

(1) 個別療法および集団療法の別による評価体系
 
I
II
III
IV
個別療法(1単位)
250点
180点
100点
50点
集団療法(1単位)
100点
80点
40点
35点
   ※ 個別療法,集団療法共に20分を1単位とする(20分満たないものは基本診療料に含む)
   ※「個別療法」はPTと患者1対1で20分以上を1単位、PT1日実施単位数 18単位限度、
    「集団療法」1対複数で20分以上1単位、PT1日 54単位限度
   ※ 定期的な計画の見直し、効果判定等を算定要件に追加
医師の責任を明文化
 (1) すべての患者の内容要点および開始時刻と終了時刻をドクターカルテに記載
 (2) 開始時および3ヶ月(理学療法?は6ヶ月)に1回以上、効果判定を行い、患者にリハビリテーション実施計画の内容を説明し、その内容を記載
リハビリテーションの記録
 (1) 患者ごとに同一ファイルに保管し、実施時間、訓練内容、担当者等を記載し、常に医療従事者による閲覧が可能が可能であること

   ※ 肺機能訓練ついては理学療法料の「集団療法」により算定


   ※ 理学療法(PT)、作業療法(OT)、言語聴覚療法(ST)が同価

・ 患者一人に対する PT、OT、ST の全ての合計が1日あたり4単位(疾患によっては6単位)までに制限。
「特定疾患」6単位まで認められる患者とは
(1)「回復期リハビリテーション病棟規定満たすもの」
「脳血管疾患、脊髄損傷等の発症後3ヶ月以内」「大腿骨頸部、下肢または骨盤等の骨折後3ヶ月以内」「外科術後または肺炎等の治療時の安静により生じた廃用性症候群を有する、手術後または発症後3ヶ月以内」「これらに準ずる状態」
(2)
「早期リハ規定満たすもの」
急性発症した脳血管疾患等として「脳血管疾患、脊髄損傷等の中枢神経外傷、大腿骨頸部、下肢または骨盤等骨折、上肢骨折または開腹・開胸手術後の患者」
(3)「早期リハ加算を行い、外来移行2ヶ月までの老人」
(老人のみ)入院中に上記の早期リハビリテーション加算を行った患者が退院後外来で2ヶ月に限り算定可能

・ 患者一人に対する個別療法は(PT、OT、STあわせて)1日3単位まで、かつ特定の疾患以外の患者についてひと月に11単位以上行う場合は各11単位目以降を各点数の70%で逓減算定(算定回数制限の導入)
・ 患者一人に対する集団療法は、1日当たり2単位、かつ1ヶ月合計8単位までに制限(算定回数制限の導入)
・ 患者一人に対し、同一日に個別療法と集団療法の両方を行った場合、個別療法のみでしか算定できない(個別療法と集団療法との関係の整理)
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(2) 早期リハビリテーション加算の改定
 施設基準 I および II において急性発症した脳血管疾病等の患者に対し、リハビリテーション計画を作成して個別療法を実施した場合、 PT、OTいずれも加算可能。
 発症後14日以内  100点 (1単位につき)
 発症後15日以上30日以内   80点 (1単位につき)
 発症後31日以上90日以内   30点 (1単位につき)
  ※ 15歳未満の患者に対しては上記それぞれの2倍の点数で加算
  ※ 入院中の患者に対し、病棟等において早期歩行、ADLの自立等を目的とした
   理学療法 I、II で「個別療法」を行った場合、1単位につき更に30点加算(病棟加算)
  #訓練室以外(病棟訓練室含む)および廊下以外。早期歩行の自立や実用的な日常生活における諸活動の自立を目的とした場合に算定(常に看護師等にADLに生かされるように働きかけること)
  ※ 加算期間中に生じた再発症例「臨床上急激に発症し、画像診断等で新たな発症を確認、且つ急性期治療を成された場合のみ新たな起算日とする」症状増悪はこれに含まない。
  ※ 早期加算中は「個別療法」11回目以降減点なし
  ※ 早期加算の算定要件
   理学療法または作業療法開始時とその後月1回以上、医師、PTあるいはOT等が
   共同してリハ実施計画を作成し、患者または家族に説明して交付、その写しを
   ドクターカルテに添付。

(3) 外来移行加算の改定
 老人で上記の早期リハビリテーション加算を行った患者が退院後に外来で個別療法の場合、外来移行加算として1単位当たり50点を、退院から2ヶ月に限り算定できる。
 ※ 外来移行加算を算定する場合、診療報酬明細書に退院日および入院中に早期加算を行った旨を記載すること
 ※ 外来移行加算中の「個別療法」は11回目以降も減点なし


(4) リハビリテーション総合計画評価料 (老人リハビリテーション計画評価料は廃止)
 施設基準Iにおいて医師、看護師、PT、OT 等が共同でリハ計画を策定した場合、入院(外来は初診)の 初、2、3、6月に各1回、480点を算定。

(5) 入院生活リハビリテーション管理指導料(老人のみ)
 療養病棟又は老人病棟において PT、OT 等が病棟や病室で日常動作の訓練及び指導を週1回以上行った場合、患者一人につき週1回、月4回に限り算定(入院から6ヶ月)。ただしこの日は理学療法料を算定できない。
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(6) 施設基準
 PTやOTの増加を踏まえ、また都市部における質の高いリハビリテーションの確保のため、現行のリハビリテーション施設 I(総合承認)の面積要件を緩和し、高い人員配置を要件とする。
  ※ 言語聴覚療法につき施設要件算定
    新たに言語聴覚療法にかかる人員要件および施設要件を設定する
 
点数(1単位あたり)
人員
面積
個別療法
集団療法
総合リハ
(理学 I・作業 I)
A
250
100
医師 2人以上(専従・常勤)
PT 5人以上
OT 3人以上
PT 300m2以上
OT 100m2以上
B
医師 2人以上(専従・常勤)
PT 6人以上
OT 6人以上
 合計 15人以上
PT・OT合計で
 240m2以上
理学 II
180
80
医師 1人以上(専従・常勤)
PT 1人以上
PT 100m2以上
理学 III
100
40
医師 1人以上
PT 1人以上(週2日以上)
PT 45m2以上
理学 IV
50
35
   
作業 II
180
80
医師 1人以上(専従・常勤)
OT 1人以上
OT 75m2以上
言語 I
250
100
医師 1人以上(専従・常勤)
ST 3人以上 
個別室 8m2×3
集団室 16m2
個別・集団共用不可
言語 II
180
80
医師 1人以上(専従・常勤)
ST 1人以上 
個別室 8m2×1
集団室 16m2
個別・集団共用可

※ 言語療法室は車椅子、歩行器、杖の患者が容易且つ安全に出入り可能な遮断室でなければならない。
※ 備品:簡易聴力スクーリング検査機器、音声録音再生装置、ビデオ録画システム、各種言語心理認知機能検査・用具、発生発語検査機器・用具、各種診断・治療材料(絵カード他)
※ 理学療法 II 常勤・専従のPTが2名以上いる施設では「運動療法機能訓練技能講習会を受講したあん摩マッサージ指圧師等」に医師またはPTが事前に指示し、かつ事後に報告を受ければ、彼らの担当患者は理学療法 III の点数算定できる。

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《患者の状態に応じた慢性期入院医療の評価》
  ―療養病棟,老人病棟基本料の包括範囲―

(1) 在院日数による逓減制の見直し
 長期療養に適した医療提供の観点から、初期加算・長期の減算を廃止する。

(2) 包括範囲の見直し
 効率的な医療提供の観点から、現行、療養病床等の包括範囲(検査、投薬、注射、一部の処置)に単純エックス線、簡単なリハビリ等を含める(包括範囲の拡大)
<広報部:注>
 包括される簡単なリハビリは“集団療法に限る”と明記されています。 ←2002.3.15 modified

(3) 患者特性に応じた評価
 一律的な入院基本料に加え、日常生活障害の有無,痴呆の有無を基本としたリハビリ必要度等に応じた評価を設ける。
 日常生活障害加算 (新設)  40点/日
 痴呆加算     (新設)  20点/日
    * なお、老人病棟についても、(1)(2)については対象。

(4) 人員配置評価の見なおし
 看護配置 5:1 を標準とし、6:1 は廃止(平成15年4月施行)。


《平均在院日数要件》(平成14年10月施行)
 長期療養に適した医療提供の観点から、初期加算・長期の減算を廃止する。
 
現行
改正後
一般病棟入院基本料1
25日以内
21日以内
一般病棟入院基本料2
28日以内
26日以内
急性期病院加算及び急性期特定病院加算
20日以内
17日以内


《物理療法関連》 消炎鎮痛処置に係わる処置評価の見なおし
  消炎鎮痛等の処置(1日につき)の新設
マッサージ等の手法による療法
35点
器具等による療法
35点
湿布処置 1 半肢の大部分等にわたるもの
35点
     2 その他のもの
24点
   ※ イ〜ハを併せて行った場合は、主たるもののみ算定
   ※ ロ、ハについては、月5回目以降 逓減(100分の50)。
   ※ 在宅寝たきり患者処置指導料を算定している場合には請求不可
診療所
 診療所に限り、慢性疼痛疾患管理指導料(月1回 130点 新設)
(1) 変形性膝関節症、筋筋膜性腰痛症等の疼痛を主訴とし、疼痛による運動制限の改善等を目的にマッサージまたは器具などによる療法を行った場合算定。
(2) 慢性疼痛疾患管理指導料を算定した患者と透析患者、15歳未満の患者は診療逓減制の除外対象のため診療所では月4回以降も再診料は74点


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《生活習慣病指導管理料》 新設
 200床未満の病院および診療所で算定可能。運動療法指導管理料から生活習慣病指導管理料項目の改定。指導管理、検査、投薬、注射料を含む。
 
高脂血症
高血圧症
糖尿病
 処方箋交付の場合
1,050点
1,100点
1,200点
 処方箋を交付しない場合
1,550点
1,400点
1,650点
   ※(在宅自己注射では算定不可)


《再診料・基本診療料》
 
現行
 
改訂後
 再診料 診療所
74点
イ 月1回の受診
ロ 月2回目、3回目の受診
ハ 月4回目以降の受診
81点
74点
37点
 再診料 病院 (200床未満)
59点
イ 月1回の受診
ロ 月2回目、3回目の受診
ハ 月4回目以降の受診
65点
59点
30点
 外来診療料
70点
1 月1回の受診
2 月2回目以降の受診
 イ 15歳未満の患者等
 ロ イ以外の患者
77点

70点
35点
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【理学療法現行点数と改訂後の比較】

≪ 例1(総合リハ承認施設)≫
 急性発症の脳卒中(入院)  発症8日目から初月15回
【現 行】 710×15回 (早期20分)
10,650点
【改訂後】 (250+100+30病棟)×2(単位)×5(日)
(250+80)×2(単位)×10(日)
10,200点
(95.7%)
(250+100+30病棟)×1(単位)×5(日)早期と同じ20分
(250+80)×1(単位)×10(日)
5,200点
(48.8%)

≪ 例2(理学療法 II )≫
 下腿骨折(外来)  受傷より2ヶ月 月12回
【現 行】 170×12回 (簡単15分)
再診料  59×12回
2,748点
【改訂後】 180×10+(180×0.7)×2回 (個別1単位、20分)
再診料  65×1+59×2+30×9回    2,052+453 
2,505点
(91.1%)
80×8回(集団1単位、20分、算定回数制限8回まで)
再診料  65×1+59×2+30×9回    1,093+453
1,093点
(39.8%)



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医療・介護保険部より
 今回の改訂は理学療法部門においてははじめての厳しい減収が予想されます。各施設で現行と改訂後のシュミレーションをされた内容や疑問点、様々な問題など会員の皆様からのご意見・情報をお待ちしております。
  (メールは Iryou-Kaigo@physiotherapist-osk.or.jp まで)
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【参考資料】
  東京都理学療法士会ホームページ「診療報酬改定情報」
  厚生労働省ホームページ
  診療報酬改定の内容:社会保険旬報 No 2126
  PT・OT・STに関わる診療報酬点数・施設基準:酒井医療資料提供
以 上。
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