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本文へジャンプ 平成20年7月13日 
大阪府理学療法学術大会も20回を数えるようになりました.20年の間に理学療法士の社会的認知は高まり,その役割は非常に大きなものになっています.理学療法の対象は日常生活に支障のある方々だけでなく,生活習慣病の方や疾病,外傷を予防したいという方にまで広がっています.また,日常生活には何ら不自由はないものの,競技スポーツに復帰したいというような高いパフォーマンスを対象者の方から要求されることも多いと思います.さらに,介護領域では直接的に対象者の方々の日常生活活動レベルを上げることだけでなく,介護や介助の方法を関連職種に伝達するというような業務もあります.このような現状とは対照的に,理学療法士・作業療法士法では理学療法の対象は「身体に障害のある」方々の「基本的な動作能力」の改善に限定されています.また,ここ数年の理学療法士養成施設が急激に増加し,学生や教員の質の低下が危惧される一方で,理学療法学の発展とともに,養成施設の教員にはかつてないレベルの良質で高度な教育が期待されています.
このように,理学療法に関するこれまでの歴史的変遷と法律や診療報酬に代表される社会的背景とには少なからずギャップが存在します.そのギャップの中で理学療法士は日々,少しでも身体機能が改善するように,少しでも介護者が楽になるように,少しでも願いが叶えられるように,少しでも良い教育ができるように,少しでも質の高い卒業生を輩出できるようにという視点で自らの対象者の方々と向き合っていると思います.
理学療法士の仕事の柱としては,大きく「臨床」「研究」「教育」があります.この3本柱の原点はそれぞれ「人」であり,一人の患者さん,一人の学生さんに直接的あるいは間接的にサービスを即時的もしくは長期的な視点のいずれかで供給・還元できなければなりません.今回の大阪府理学療法学術大会では,これら3本柱についての「原点」と「将来展望」について考える場を作りたいと思います.
大会長基調講演では「理学療法の原点」というテーマで,本学会のイントロ的なお話をしたいと思います.特別講演では「臨床」「研究」「教育」の3つのテーマについて,3名の講師から歴史的変遷と未来についてコンパクトにまとめてお話いただこうと思っております.シンポジウム(パネルディスカッション)では,特別講演の講師をシンポジスト(パネリスト)の一人としてお迎えし,3つのテーマについて歴史的変遷と現況を踏まえながら,明るい未来に繋がるような議論を展開したいと思います.一般演題は研究発表だけでなく,症例研究も積極的に採用し,客観的なデータが抽出できないような場合でも,映像を用いた発表などでフロアーと内容を共有できるものにしたいと思います.府民公開講座では,これからのリハビリテーション,理学療法士に期待するものというような内容を企画しております.
学会場は,幸か不幸かサミットが洞爺湖に決まりましたので,大阪国際会議場とすることができました.多くのみなさまをお迎えするべく,準備委員一同,鋭意準備を進めております.たくさんの方々のご参加をお待ちしております.
第20回大阪府理学療法学術大会
大会長  大工谷 新一

ご挨拶